本当の自分を取り戻す
子どもを見ていて思うのは、安定した精神の基盤の上にしか、十分な学力は定着しないということです。論理の観点から言えば、筋道を立てて物事を考えることは、言い換えれば、未知数を抱えたまま粘り強く思考していく知的体力が求められることですが、気持ちの安定しない子どもは、感情的になって途中で思考を放棄する傾向にあります。学習によってその在り方を更新していくことは可能ですが、一朝一夕にはいきません。
安定した精神とは、簡単に言えば甘えのない状態だと言えます。時間の観点から甘えとは、現在に生きず、過去や未来に逃避した在り方を言います。過去の後悔を人のせい(子どもに多いのは親のせい、先生のせい、何かを言われた誰かのせい)にしたり、未来の妄想に溺れたりする在り方です。バンドでメジャーデビューした自分が本当の自分で、アルバイトをしている今の自分は仮の姿だというのは、その一例でしょう。同様に学歴をそのような隠れ蓑にすることもできます。「○○大学に入ったら、過去の出来の悪い(と思い込んでいる)自分は全部チャラにできる!」そのような発想です。
このように過去や未来に生きる人は、現在の自分が怖いのだと思われます。ありのままの自分を自分で受け入れられない。ありのままでは愛されないという恐怖に怯えて、過去や未来に生きています。ですから当然、現在の、目の前の学習に対して、エネルギーは注ぎきれません。それ以上に気になる過去があり、溺れたい未来があるのです。こういう自分の在り方が露呈してしまうのが受験だと言えます。首尾良く合格したとて、隠れ蓑としての学歴を手に入れた人は、自分の考えを改めなければ、甘えをいっそう強固な鎧としただけですし、不合格の人は甘えが明るみに出た良い機会だったとも言えます。
OSアカデミアの講師は、子どもの様子を甘えの観点で見取る目を持っています。そして、ありのままの、現在の子どもの姿を「評価するのではなく」「そのまま受け止め」ています。好む好まざるにかかわらず、そこからしか成長のしようがないのですから。もちろん、甘えを指摘されてバリアを張る生徒もいます。私たちにできることは、気づきを与える声がけをするまでで、気づいて変わろうとするか、甘えを絶とうとするかは、本人次第。年相応の立派な体格で、人当たりの良い笑顔を向けられても、やはり学習指導において、甘えは見え隠れします。学習は甘えをなんとかする良い営みです。ぜひ一緒に学びましょう。
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